5(金)
気になるものを何と表現したらイイんだろう。昼過ぎにミンミン蝉が少しだけ鳴き、何処かへ移動したのか静かになった林。数日前、霧が土澤盆地を覆っていた。空が白みはじめた頃だった。ヒグラシ蝉の静かな鳴き声に不思議なものを感じ半分目覚めた。ず〜っと昔に経験したが何時のことかハッキリ想いだせずにいた。普段聞くヒグラシの音ではなく鈴の鳴る音のようだった。暫く鳴き北側に移動してゆき、音が遠くへ行ってしまった。半覚醒のまま外を見ると霧の白色の世界が広がっていた。その霧の冷たく湿った空気がヒグラシの音色に普段と異なる響きを与えたのだろう。オイラのこころに響いたものを何と表現すべきか考えているが、思いつかないままだ。
8(火)
夕方になって台風の雨を降らす雲が黒く覆って暗い。大豆の白い花が咲いている。豆の仲間は意外と多く東京の野原や道端にも咲いていた。多分母が幼いオイラに「コスモスや豆の花が好きなんだ」とそれらの花を指差して云っていた記憶がある。克明に覚えているわけではないが母との懐かしい想い出がオイラに大きな影響を与えているようだ。母の両親が東京に来た時沢山の土産を持ってきていた。豆が入った餅や乾燥ソラマメなどの豆類。母の好物をどっさり。あの頃はチ
ッキという鉄道便があり品川駅まで父と取りに行った想い出もある。普段忘れている様々なことを最近よく思い出す。幼い頃の家族との体験が今のオイラを構成しているようだ。
10(木)
明日からお盆なのでアチコチで草刈り機のエンジン音が忙しそうに動いていた。毎年ご先祖さまが戻ってこられるので皆さん周囲を綺麗にしている。畑ではオクラが花盛り。ナントも綺麗な花だ。花が咲くと一週間で食べ頃となる食いしん坊向けの野菜だ。☆岩手に来て気付いたが、蝉の鳴きはじめる順番で、早い順にヒブラシ、ミンミン、ジ―ジ―。ヒグラシは秋近くなって鳴きはじめると思っていたが、意外だった。そして鳴く時間によって鳴き方が微妙に異なるようだ。☆この最近ホヤがとても旨い。以前は食う度に『これは動物か?植物か?』と首をひねりながら味わっていたが今では『動物で火を通しても旨い』と感激しながら頂戴しているのです。今ソロのヒグラシが窓辺にやってきて大きな音で張り切って鳴き、暫くすると移動している。
28(月)
農作物の日照不足と低温による影響が危惧されている。毎日オクラが綺麗な花を咲かせ、実をつけている。裏の林では蝉たちの合唱が響いている。水路にいた黒川トンボの優雅な姿は見られなくなった。アチコチで仕事をやり終えた蝉が落ちているのが見られる。ちゃんとお仕事をし見事な姿だがチョイとさみしい気持ちにもなる。ここ数日陽射しが稲の花に恵みを届けている。様々な生命、移り変わる自然のなかでそれぞれ自分を生きている。