2011年 4月 ほうほう日記


 1(金)
『岩手の大変な状況時に心苦しいが赴任先で頑張ります』とNHKのアナンサーさんから移動の知らせを頂戴した。取材で『カフェほうほう』に寄って頂き親しく話が盛り上がったのがつい最近のように感じる、新しい赴任地でのご活躍を!。★暖かい陽射しなので歩いて出かけた『みんなで歌おう』、集まった仲間は皆、元気で居てくれ非常に嬉しかった。3日に沿岸被災地へ“がれき撤去作業”のボランティアに行く仲間に「程好い頃に音楽をしに伺うから」と言付けを託す。★21日の『集い』で支援活動に頑張ってくれた障害仲間達は社会参加できて、元気で輝いていると聞き有難く思っています。★友人から『福島原発の「廃炉」を求める有志の会』への署名要請が届く。 有志の会HP  をご覧下さい。★21時に又揺れたので震度を確認しようとTVをオンしたらNHK番組が始まり冒頭で八木沢商店の河野さんの元気な姿が映り、直ぐ電話で話し「醤油蔵も失ったので醸造は時間がかかるので販売で頑張るよ」「音楽が必要な時は飛んで行くから」と話した。良かった、良かった。


 3(日)
黄色に紫色の花が寄り添って咲き始め、野にも小さく様々な色が少しづつ増えているが今日の冷たい風、時折ちらつく雪に花を開こうかと思案しているようにみえる。★『体調が優れず暫く俯いていた』と仰る方が『人様に想いを届けられるだけでも幸せと感じるようになった』と便りをくれた。今は向かい合って声を掛け合うだけでも元気を頂戴するように思う。★『21日の集い』では障害仲間も二手に分かれて募金の声かけをしてくれ沢山の善意が集まったと福祉協議会から連絡、仲間の笑顔を想う。


 5(火)
昨日は時折激しい雪が降るほど冷えたが今日は暖かく明るい陽射しで午前で9℃。宮城県の東北部、南三陸町の避難所の子供らを元気にと“サムライ・ジャパン”の岡田元監督が訪れサッカー・ゲームを一緒に楽しむTV映像、観戦する大人達も「子供達が元気で嬉しい」と見守る。★政府のエネルギー基本計画では2030年までに14基以上の原発増設を目指していると発表があった。今回の原発事故を受けて、皆でシッカリ考える時だ。ロイターでは投票による意思表示を受けている。       ★ ロイターのHP ★ 


 6(水)
暖かい陽射しに水仙の花の蕾がふくらんでいるのを見つけ、11日以来使っていない音楽用のパソコン、故障はないかと編集中だったファイルを聞いてチェック、問題ないようだ。記憶はスッカリとんでいたが激震の直前に上書き編集していたようで、ヘッドフォンから届く音源を聴いていると、当日の記憶が断片的に戻ってきた。その日に加えた二人分のコーラス・パートが遥か遠い昔の時間のように聞こえてくる。午後、ダンベル散歩で肩をほぐす。


 7(木)
赤ちゃん山羊も外に出て日向ぼっこ、お母さんの傍でピョンピョン跳ねている。ご近所の子供達も居て「可愛い!」を連発。リードに繋がれた両親は干草を食べながら赤ちゃんを見守っている。家族揃っているのでお父さん山羊も穏やかな表情で時々オレの靴紐を噛みにくる。今回知ったのだが『山羊の黒目は丸くない。横長の四角形』なのだ。赤ん坊山羊もそうかな?と抱き上げて見たら、矢張り四角い黒目だった。フニャフニャしていた鳴き声も殆ど『メー』と云えるようになったし、角も生えてきている。★マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から立体的な網膜組織を形成することに理化学研究所の研究チームが世界で初めて成功したというニュースが届いてきた。 網膜色素変性症の治療に光


 8(金)
凄い揺れでした。今回の方が強い揺れかとも思ったくらい。寝ようと枕もとの電気を消した直後でした。揺れがおさまるまで棚の上のモノを押さえていた。停電の闇のなか着替え外の車に玄関のドアーを開けたまま避難。ラジオの緊急ニュースの“津波警報”に緊張がはしる。東京の姉の家族に電話、運良く二度目のトライで通じ、全員無事を伝えることができた。お隣さんの無事を確認し、約一時間ラジオを聞くが、仙台局からの情報で如何なる規模の地震なのかが判らない。家に入り、夕食後から発熱の孫の具合が心配だったが、みえこがホット・ハニー・ジンジャーを与えたら直ぐに寝入った。激しい余震の度に安否を確認し合っているので娘の無事も早々に確認できよかった。★今日になり充電ラジオから普段通りの番組を聞こえるので少し安堵し、孫も母親に寄り添って昼寝している。


 9(土)
思わぬタイミングでモノが届く。落ちた書類にまじっていた歌詞ノートを読んでいて見つけた楽曲にコードを起こし口ずさむ。最近聴いていなかったカセット・テープを就寝前に聴いたり、手元に転げ落ちてきた本を読みふけったり。ふさぎ込みを取除こうとしているのか?眼科の定期健診にひとりで行った帰りに『ほっと』に寄ってみたが閉まっていた。11日の揺れでコーヒー・ミルが落ちたが今回の被害が気になる。帰宅後歩いてレシピを調剤薬局に持ってゆく途中、お父さん山羊が小屋の窓から顔を見せ挨拶してくれ、心が軽くなり雨が上がったリュックさんの庭を歩き画像の花(茶色のウブゲの花なんですよ!、ビワの仲間かな?)の蕾に声をかけた。


10(日)
地震直後から頑張ってくれる自衛隊の方々、昨日薬局に行った際に釜石道東和インターから沿岸方向へ移動の車両を見て敬礼。★裏の林の今朝のウグイスは大いにノッテ歌いまくっている。自分でも気分が好いのだろうね。毎年色々個性豊かな歌声を聴かせてもらっているが、今年は正統派でエラ・フィツジェラルドを思わせる風格の持主だ。ご近所の中学生が小学校に入学した頃にタドタドしい口笛で「こういう風にやるんだよ!」と指導した程の幼い歌い手がいて、随分時間をかけて練習していた。上達した時には皆でスタンディング・オヴェーションしたもんだ。かく在りたい歌手の鑑だ。


11(月)
何故か目が向くチッチャナ青い花の画像を編集していると裏で雉が鳴いて『?!』と耳を澄ませるとグラグラと地震で「知らせてくれたんだね」と有難く思っていると結構揺れが長く続く途中で、ギギーと一鳴き、TVの速報が福島で震度6と報せている。★大震災から一ヶ月経ちアチコチの仲間達と会い、それぞれ想いを語り家に帰る途中、聞いていたテープを停め明日の釜石線の運行状況を知りたくて地元局『FM花巻』を聞くと『ほうほうの子守唄』が流れてきてビックリ。その前にも何か自作がリクエストされたようで、『子守唄』が終わると大震災の同時刻になりリスナーに黙祷を呼びかけるアナウンスがあり路肩に停車して祈る、町にはサイレンが響いていた。


12(火)
水沢の友人が例の山羊の家族がラジオに出演したと知らせてくれた「その声は“一緒に笑いたくなる”表情で、元気を貰った」と添えて。言葉を喋らない存在の独特の恵み、同感です。★今日から通常ダイヤで運行再開の釜石線の快速に乗って盛岡講座へ。往きの車内はガラガラでした。盛岡駅改札を出たコンコースは節電の為必要最低限の照明になっていた。今まで必要以上の電力を消耗していたのかを感じた。


13(水)
昨日、講座から帰って夕食後に風邪の症状が急に出て布団にもぐり込んだ。講座の皆さんに「風邪ひかないよう気を付けましょうね!」と申し上げたのが恥ずかしい有様だ。チョッと薄着したせいかな?!家族全員が風邪ひきだ。★地元コミュニティーFM局で『ほうほう』の作品が二曲リクエストされたぞ、と便りを頂戴する。二つ目のリクエストされえた方は若い時の音源と思われたようだったが五年前の音源なので何ともコソバユイ。★棚から揺れ落ちてきた歌詞の楽曲を娘のレパートリーにどうかと“コード付け”やアレンジして口ずさんでいると、みえ子にオレが『カヴァー集』で歌うべきだと指摘される。★「山羊さん家族に会いにいく」と孫が云うので「野の花を撮ってきて欲しい」と託したら、可愛い花を見つけてくれた。元気な母子だ。


16(土)
風邪。頭痛、咳が止まらない。花粉症じゃないか?!と云う人もいるが、風邪のように思う。咳で体中の筋肉が痛い。昨日の『みんなで歌おう』は鼻水をすすりながら。終了後野球場で少年達がランニングしているのを見学。走りながら挨拶をしてくれたのにビックリ★今日昼前から雷が鳴り雨音も激しく降っている。★sycamoreとはどんな木だろうか?辞書ではアメリカスズカケノキとあるがスズカケノキ自体知らない、東京では並木になっているのにと教えられる、《エジプト》ではイチジクを指すようだ。ネットで画像を検索。sycamore mapleというのもあるようで果たして詩人は何を指して詠っているのか?


17(日)
「最近、心細くて」と仰る難病の先輩から電話で風邪見舞い、恐縮。ピアノを弾き困難な病を得た同胞に合唱指導をする音楽仲間でもある彼女は『ほうほうの子守唄』をご自分のピアノで歌いたいから譜面を書いてくれと仰り、以来譜面の読み方などを時折話し、彼女は病との“付き合い方”をユーモアをまじえ伝えてくれる。★この一ヶ月の状況を共に経験し生き延びていることを実感し、「まず元気にしてましょうね。有難うございます」が合言葉。


19(火)
寒い!冬のように冷たい雨。処によると雪になるかも知れぬという予報。盛岡では雪がちらついていると道行く誰かが言っている。春っぽい服装を冬物に戻して、靴下は二枚重ね。講座の教室の暖房をオンにして、ご挨拶。皆さん口々に「寒い、寒い!」。リクエストの英語の楽曲『A Place in the Sun』を講師アレンジの2-beatと三拍子で想いを込めて歌い別ける。次々に歌い続ける、90分で20数曲、歌い続ける。自分の声だけでなく周囲の声を聴きながら歌う。二部のパートも快く響く。笑顔が広がる。「ご自分の心にエールを送るように歌ってあげましょう!」。オエリャー鼻声の講師も歌う、皆さんの心に向けて、自分の心に向けて。
ホンワカ暖かくなって、皆さん「有難うございます」「又、来週お会いしましょう!」「風邪ひかないように!」「ゴキゲンヨウ!」


20(水)
昨夜から風がうなりをあげて吹いている。冷たい空気と暖かい空気が互いの存在を主張している。時の流れが現れる。音であったり様々な色となって届いてくる。先週には無かったモノが。存在と存在した時間がかたちになって届いてくる。硬い蕾が開いてピカピカの葉になっている。


21(木)
ツクシンボウが出ていた。東京でも、昔は原っぱで見つけたもんだった。漢字の『土筆』も好きだ。こちらの方々は食べないと聞くが、つくしの佃煮には懐かしさを感じる。★久しぶりに五線紙を探し、4B鉛筆でメモってみた。風邪が治らないので鉛筆の匂いに出会えず残念だったが、消しゴムも使い32小節のメロディとハーモ二ーを書き込み、歌詞を加えて、ギターで歌って確認。かつては黒インクと写譜ペンは机の上に有るのが当たり前だったが、何処かへ仕舞いっぱなしだ。


22(金)
庭に小さな青い花を見つけた。名前は例の如く直ぐに思い出せないが可愛い小さな花が葡萄の実のように房状になっている。デジカメもケータイのカメラでも苦手な青なのだが、今回はうまく色をつかまえられたようで嬉しい。思い出した!ムスカリだ!低い声、ギターで歌うジョルジュ・ムスタキの声を思い出し、暫く口ずさんで、やっとムスカリに辿り着いた。花も笑っているようだ。★もう一つ嬉しいこと!『暮坪カブ』の葉を頂戴した。『暮坪カブ』は蕎麦の薬味として最高の辛味と香りで、この辺りの風土が育む限定作物で、特に『とうわ九条の会』の仲間が作る『暮坪カブ』は大きく非常に風味が良く有難く頂戴している。夏に出来るカブなので、この時期の葉はカブを育てる為の『間引き菜』なのかも知れないが、独特の爽やかな風味が『おひたし』や『和え物』に重宝し、初物を美味しくいただいた。感謝、感謝。


24(日)
一週間位に「カエルさんがないてたよ」と我が家に避難中だった孫が云っていたが、昨夜の大雨洪水警報がでた激しい雨にカエルが歌っているのを聞いた。まだコーラスではなくソロだった。鳥達も随分鳴き始め、晴れた日に聞こえたのはヒバリのようだった。裏の林のギジは地震のP波を捉えて『注意するように!』と鳴いて知らせてくれる。先日白いモクレンが咲く並木を走った、桜の開花もニュースで見た。春なんだなあ。


25(月)
花巻支援センターの近くの駐車場の満開の梅の花、こじれた風邪の鼻にも花の香りが微かに届いてきて何とも嬉しい。先月の21日の『集い』の反省会に誘われ、車でお迎えをいただいた。途中に白木蓮の並木がありコブシとの違いを教えて貰った。「山のコブシの開花は米の種を蒔くタイミングとして昔から伝わっている」とか「岩手山の雪が鷲の羽根の形も同様だ」とか。障害仲間、ボランテァー、職員の方々、お手作りのお昼を楽しみながら意見の交換、食後は急遽「みんなで歌をうたおう!」ということになり、仲間のギターを借りて一時間歌い、今後の活動方向を話し合った。いろんな人が集まる社会で助け、助け合いながら、みんなで元気に、幸せに。


26(火)
釜石線の下りは運休で代行バスが出て、盛岡行きは25分遅れ。昨夜の落雷の影響だとか。東和町でも随分と鳴り続いていたから。講座の事務局へ遅延を知らせて、昨日プリントした『上を向いて歩こう』のハーモニーを確認しながら車窓からの景色を見る。白モクレンとコブシの違いも何となく判り「ナルホド」を連発、水仙も花盛り、桜も咲き始めているのが見え、本格的な春の到来を感じる。先月の『集い』で皆さんと歌った『上を向いて歩こう』は改めて中村八大さんの傑作だと思う、ハーモニーもスケールが大きく、永さんの詞、痛ましい事故で亡くなった坂本九ちゃんの歌、今こころに響いている。


27(水)
岩手で暮らすようになって“新緑前の紅葉”を知る。昨日盛岡駅前広場で見つけた芽吹きは、ご覧のように“紅葉”なのです。桜の花の蕾も赤茶っぽいガクに包まれているし、花びらがふくらめば濃いピンク。このような花や葉の蕾の色が、一斉に辺り一面を覆う光景は言葉で表現できぬ程美しく癒されているのです。★お気に入りの楽曲をテープに収め運転中のBGMにしている。そのテープを家でジックリ聴いたままにしていたら、車のラジオのFM局から流れてきた。「テープ戻したっけ?否ラジオだ!」思わずニタリ。特にポピュラーでない楽曲なので選曲者に拍手していると好みの楽曲が続く。このようなことは『カフェほうほう』の有線でも度々あって、同じ趣味の方に出逢える悦びである。


28(木)
午前中に見た近所の桜の蕾が、夕方に随分開いていたので「もしかしたら!?」と、みえこと車で数分のところの山里の“心当たり”の場所に行ってみた。「やっぱり!」、暫く声をなくし見渡す、窓を全開、春特有のの花の香りが、風邪で鈍感になっている鼻に届く。車を止めて夕方の空気の中に出る。鳥たちも歌っている。自然の息吹が、暫く忘れていたものを届けてくれる。震災から四十九日。
『ふさぎこんでちゃ駄目だよ』って伝えてくれる。


29(金)
重い病で亡くなった知人の野辺送り、思い出話を聞き故人を偲ぶ。ついこの間、元気にしていたのに、はかない命を思う。生き残る我等の生き方を思う。心が小さく、弱くなってしまった自らの修復すべきところを直し、自分を生きていかなきゃ!と思うが、なかなか最初の一歩を踏み出せないでいる。


30(土)
東和の里山に梅の花が満開。
鼻声が少し軽くなってきたかな?数えれば三週間だ、随分長い風邪ひきだった。若い頃録った音源は、レコードでもCMソングでも鼻声が多くて、一度風邪をひくと忙しいスケジュールで治る暇がないと冗談を云ってたもんだったが、今回の風邪は忙しくないのに、症状は始めてのタイプで非常にシンドカッタ。★友人ちの小さなワンコ(コーギー)が9頭の仔犬を出産したと便りが届く。あの仔がお母さんになったのか!と皆で拍手。

   ほうほう音楽工房 トップ へ戻る