2016年 8月

 2(火)
昨日激しい雨の後に見た虹。カメラに収めたが見た印象程撮れてない。オイラの目でも見えたのに残念。まだ黒い雲が広がっている空に伸びる光を見ていて、二十歳前に観て大いにこころを動かされたTVの番組を思い出していた。風はなに色?という30分の番組。米国の生まれつき全盲の少年が両親に問いかける『風はなに色なの?』という想いが展開されていた。ブランコや車が大好きで、その時に快く感じる『風』ってどんな色なんだろう。きっと素敵な色なんだろうと少年は思う。仲良しの近所のお兄さんは彼にギターと歌を聞かせせくれる。その音楽に合わせて、ひっくり返したバケツの底を叩く少年の頬に風が吹く。その風はどんな色なの?と問いかける少年の笑顔。オイラはギターと取り出し、その少年が見せてくれた素敵な笑顔の印象を、メロディー、ハーモニー、リズムの音楽にして、少年に届けばイイなと思った。以来、こころの中に居るその少年に届くように音楽している。風はなに色?と問いかけてくれた君に逢えてよかったよ。アリガト。


 4(木)
このところ岩手も随分と暑い。この暑さに負けず畑には草が茂っている。長袖、長ズボンで虫に刺されぬように草取りをしてる。★コンクリートに囲まれる東京では、さぞかし猛暑だろう。局地的に大雨が降ったり大変と聞き、見舞いの便りをした。会社の冷え過ぎの冷房に大きたストレスを感じているとか。大変なことだ。そしてブログで書いていた黒ニンニクを作る炊飯器・・・を思い出してくれ『送ろうか?』と云ってくれた。実は炊飯器で二週間かけてつくるが、その間半端でない匂いだと聞き断念したと伝え、お気持ちだけ頂戴することにした。短い便りの交換だったが、午後、音源を編集していると、今まで埋もれて聴こえなかった音が蘇ってきた。猛暑のなか頑張りながらも優しい気遣いを届けていただいた嬉しさが更に広がる。しかし暑い。


 6(土)
家の前の水路に黒い川トンボが姿を見せている。普通のトンボに比べると小さくて細い。一見黒だけに見えるが、よ〜く見ると黒だけじゃなく水色やミドリ、光る金色もあるんだよ。オイラの目で細かい観察ができるのか?と不思議に思われるでしょう。今年も逢えてオイラ嬉しいよ、写真を撮るけど怖くないよぉ、と近づきながら話しかけている。そして水路脇の草に止まるのをひたすら待つんだ。いつもは水面に垂れた草に居ることが多いが、時々オイラの畑にやって来るんだよ。黒い装いはとてもオシャレに見えるし、チョウのようにヒラヒラ飛ぶ姿は愛らしい。話しかけていると結構近くの草に停まってくれカメラに収めるのさ。それをパソコンに取り込んで拡大して見るんだよ。数週間しか居なくって、居なくなる頃には羽根が傷ついてたりする。裏の林の蝉たちもそうだけど、地上に出てくるまで長い時間を経てるんだよね。


 7(日)
今日もメッチャ暑い岩手でがんす。皆様方の処はいかがですか?お見舞い申し上げます。今日はバスで花巻『まなび学園』に原水協の写真展示を見て平和の大切さを強く感じました。古代のオリンピックはポリス同士の戦争を休戦し平和を考える期間に開催され、ソクラテス、プラトンもポリスの戦士でもあり、オリンピック競技のアスリートであり、平和を考える哲学者でもあったが、未だに戦争はなくならない。カントが云うように人間は戦争をするような存在なんだろうか?そんなことを流れる汗を拭いながらボーっと考えていると窓辺近くでウグイスが大きな声で歌いだした。随分と大きく響く歌声になったね、と話しかけると、『そうなんですよ、自分でも歌唱力がついたと思えるのですよ』と云うように更に近くに寄って歌ってくれてる。日々の研究の成果だね。☆花巻ではアチコチでミンミン蝉が鳴いていた。昔、鼻をつまんで鳴き声を真似したっけなあ。鼻をつままないと、あの鳴き声にならないんだよね。幼いオイラもミンミン蝉の鳴き声の真似の研究をしてたのだなあ。夕方近くになり田んぼを渡る風が気持ちよく届いてくる。


11(木)
先週の猛暑は何処かへ移ったかな。気持ちよい風が吹いていて、ちょっぴり懐かしい香りがしているような気がする。甘く果実のような香り。葛の葉が茂っているので、もしかしたら逢える期待しながら、お寺の行事に向かう。釜石線の土手にも茂っている。おっ、逢えた、逢えた。大好きな香りの花、葛の花。東京から遊びに来ていた頃は香りの正体を知らずにいたが、この花。草を刈った匂いに混じって届いてくる夏休みの香りだ。この花の姿も好きだなあ。みんみん蝉が鳴いている。


14(日)
ここ数日湿度が低いので、愛用のギターをケースから出し磨いて風に当てる。このギターが居るので、真冬でも数時間は工房の窓を開ける。隣りのリビングで石油ファンヒータを使うが、工房は暖かくしないのが基本。フィンガー弾きなので爪の手入れもこのギターに合わせている。二十歳台の後半の数年はベースを弾いていたので爪が引っかからぬように短く切っていたが、その時以外は右指の爪は普通の方々よりは長めにしている。だから園芸用の手袋の爪の部分に穴があいてしまう。このギターはネックが細い。オイラの手は大きいので太めのネックがイイのだが、音がイイ。オイラの弾き方にも声にも最も適した響きなのだ。オイラの音楽を長年支えてくれている貴重なパートナー。岩手に来た数年は一日一回はピックでも弾いてエイジングさせたが、今は指弾きで広いダイナミックレンジを維持し優れた反応をしている。


15(月)
中学三年生からギターを弾きながら歌ってきたが、それぞれのギターはオイラの歌を支えてくれていた。バンドで歌っていた頃はピックによる激しいタッチにも耐えてくれたし、繊細なクラシックギターも激しい弾絃に応えてくれていた。音楽を自分の声とギターで奏でる者にとって満足を憶えるギターに逢える幸運は大きい。一緒に音楽する時間に比例して一心同体という存在になってくれる。楽器は奏者独特の演奏に共振する時を過ごすことで成長すると思う。心の近くで奏でるギターはオイラの声の響きにも共振して成長していたのだろう。そんなことを想っていると裏の林で一際大きな蝉の声が響き出した。生命をつないでゆく蝉の声が愛おしくかんじ、林につづく道を歩くと、身体も一段大きな蝉が鳴いている。素敵なパートナーに出逢えるよう祈っているぜ、とカメラに収める。


17(水)
日付が変わった頃から温度が急上昇してから殆ど変わらず朝から雨。風が加わり時折雨脚が激しくなったりするが、ふと静かになり明るい空があらわれたり、忙しい空模様。鳥たちも蝉たちも、早くも鳴きだした秋の虫たちも静か。雨音が広がる田園。田園というと、昔そんな名の名曲喫茶があったなあ。一度だけ入ったことがある。まだ家庭のオーディオ機器が普及する前のこと。クラシックの愛好家達が集まって真剣な表情でレコードを聴いていた。少ししてジャズのレコードを聴く店に行ったことがあるが直ぐに疲れてしまった記憶がある。何に疲れたんだろう?激しい雨音なのでいつもより音量を上げて音源をチェックして、オイラの眉間を触ってみちまった。急に静かになり明るくなった。裏の林で蝉たちの大合唱が始まった。


25(木)
NHKの『子供科学電話相談室』という子供の質問に専門家が応えるラジオ番組がある。車に乗っている頃はよく聴いていた。そして子供達のユニークな発想による質問に驚くことが多かった。今日の夕方TV番組で、その舞台裏を紹介していた。「勉強をしようと思っている時に『勉強しなさい』と云われると、勉強したくなくなるのは何故ですか?」という質問があったと聴き大笑いした。☆ルイ・アームストロングが歌う♪素晴らしい世界(What a Wonderful World)♪の歌詞の一節を思い出した。♪赤ん坊の鳴き声を聴き 成長を見守っている そして我々が経験した以上をまなんでゆく世界 なんと素晴らしいのだろう♪。サッチモが暖かく歌っている。この時期親しい仏様達と向き合うことがあったので、果たしてオイラはおおくを学んでいるのかを棚に上げ、純粋な瞳で感じる不思議を考えている子供らに拍手を送っているのです。


27(土)
随分と涼しい朝だったが、次第に気温は上昇して静かだった林の奥で蝉が鳴き始めた。その音に誘われ普段はほとんど歩かない林を横切る道に行ってみる。やはり奥の方だけで鳴いている。辺りをキョロキョロすると直ぐ傍の樹木の幹に蝉の抜け殻があった。地中で何年か過ごしたのちに、全身を覆っていた地下用の防護服を樹木にしがみついたまんま脱いだんだな。ちょっと触っても抜け殻はしっかり樹木にしがみついる。落ちて怪我しないように細心の安全確保。この殻を残した蝉は、まだこの林に居て鳴いているのだろうか?地上の世界はどんな風なんだろうか?水路に居た黒い川トンボの姿も見られなくなってチョイとさみしくなっていたオイラ。蝉の抜け殻を見つけてホッとしたような更にさみくなったような複雑な想いが広がる