2016年 5月

 1(日)
ストーブを点けている。雨が降って暗い田園の風景がちょっとつめたく見えるが、葉のつぼみが芽吹こうとしている木の枝にぶらさがってる雨のしずくに目を近づけると、光を凝縮しひっくり返った世界はあったかく感じる。外に出てくるまで木枯らしに吹く風の音がフェイドインする音源を聴いていたからだろう。昨日庭の菜園のタマネギに土寄せして草むしりしたので、ふっくらした土とひょろっと伸びたタマネギの葉の緑色が美しい。昨日の『うるい』は酢味噌味で頂戴した。ほんのりした苦味が際立ち感激した。『うるい』が家に来てから、それまで居た蕗や茗荷がとても元気にしているのが嬉しい。家に入り片桐和子さんとの共作、トム&ジェリースの二枚目のアルバム『Humanbeing〜人間であること』の続きを聴こう。


 3(火)
若い頃二台のテープレコーダを使って多重録音をしていたが、音を重ねる程音質が悪くなっちまう。今オイラが使っている波形編集ソフトは簡素だが音を取り込み聞く(テープレコーダの録音、再生)ことができる。最初にオイラの『弾き語り』を録音し、再生しながらストリングスやベースを加えられる。しかも録音した音は悪くならないスグレモノで、何十人分の演奏をひとりでやり音楽に構成できるのです。オイラの失敗は出来上がった音楽に過剰な編集を加えた結果、不自然なものにしちまったのです。こいつを自然な響きに戻そうとシャカリキになっているのです。☆人間の耳は20hz〜2khzの範囲の音を聞くことができるらしいので、この範囲に施した『厚塗り』を削り落とすしかないのです。狭い周波数を拡大させて音源を再生し、その部分が自然な響きになるように削るのです。画像は700hz付近を少しだけ削る指示しています。そんなことを繰り返している今日、この頃なのです。耳だけが頼りの作業なのですぐに疲れてしまう。クマゴローさんが出店している土澤アートクラフトまつりに行ってこよう。


 4(水)
夜からの雨は昼過ぎに上がり外に出る。庭の隅の花が終わって葉っぱだけになった水仙の隣りにブルーベリーの花の蕾を見つけた。小さ過ぎて『何じゃ?』としか見えないが目を凝らして見ると、花の蕾がほころんでいるようだが、ケータイのカメラで撮れるだろうかと思うほどちっちゃくて葉っぱも芽吹いたばかり。何枚か撮ってパソコンで拡大すると大成功。初めて見るブルーベリーの花の蕾。小さい背丈で幾つか実を付けていた苗から育てているがナカナカ大きくならないので心配していたが、今年は花の蕾が沢山付いている。肉眼ではほとんど見えなかったが、ちゃんとした蕾だ。白い花だが蕾特有の色まで見える。なんとも愛らしい。


 5(木)
パソコンで作業していて『プログラムに問題が生じ終了します』と云われることがありませんか?☆オイラが音源をシェイプアップする作業を続けると編集アプリが悲鳴をあげ『問題が生じプログラムを終了します』とよく云われるのです。オイラが操作のやり直しをできるように、作業の行程を記憶しているが、その行程が細か過ぎると膨大な記憶になって『もう限界です、疲れました』状態になっているのだろう。オイラも疲れていたので気分転換を兼ねてパソコンとオーディオアンプの放熱スリットからゴミを吸い込んでいる。オイラが吸い込むんじゃない、掃除機のホースで吸い込む風量を変えながらやってるよ。こんな時のテーマソングを歌いながら。♪掃除機爺さんポチ連れてぇ〜♪だぜ。急に思い付いて掃除機を使う時も歌うよ。掃除をする方もされる方も幸せにと願いを込めるんだよ。


 8(日)
今が盛りのまことに美味しそうな八重の桜を見ながら歩く。赤の濃い色もイイ。産直の店頭に野菜や花の苗が並んでいるのだが、何故だかピンとこない。急いで買わなくちゃという気持ちが盛り上がってこないのです。もう一週間経ってからだななどと思う素人のカンを信じてよいのかと自問自答が続き、今回はパス。☆強い自信がある訳ではないのに『・・・じゃあないか?』と首をひねることがある。ただの優柔不断かもしれないが、時々『ひ』と『し』の区別がつかなくなることがある。日本語の歌詞を歌う時なんぞ『まんず冷静に!』とこころのなかで一呼吸おいたりするのです。人様の前でも、ひとりで歩きながら歌うときにも。数字の七は高校生になるまで『ヒチ』と云っていた。オイラ以上に『ひ』と『し』の区別がつかない友達は結構いて東や潮干狩りを『シガシ』『ヒオシガリ』と云っているのを聞く機会が増え『気を付けることかもしれぬ』と意識しはじめたが、今でも慌てて早口になるとトチルことが少なくない。これは江戸っ子の専売特許だと云われるが、オイラの印象では全国に散らばっていると思う。


12(木)
ナス、ピーマン、トマト苗を植えました。明日は全身筋肉痛になります。この一週間草取りや土を起こしたり既に筋肉痛を味わっているが、明日は相当なもんになりそうだなあと呟きながらも、植えるにつれ今年も野菜達と話をしながら土に向かえる歓びが広がる。食いしん坊はピカピカのナスを思い浮かべニタリ。初めてグリーンピースの苗を買ったのでグリーンピースご飯に辿りつけるかと期待がふくらむ。☆ジャガイモが来れなくなったので、ナスの畝にする。それぞれの野菜が育つ場所をずらしながら植え終える。空いている場所にはサトイモを植えようと思う。ニラも伸びてきた。ネギ、ニンニク、タマネギも順調だし、今年も筋肉痛と仲良ししながらやってゆこう。すでに痛みはじめてるが、今年の土は特別イイ匂いだったし嬉しい。


13(金)
暑い位気温が上がっている。畑の作業を昨日やっておいて良かった。しかし全身筋肉痛。パソコンに向かい手首を固定し手のひらを浮かせる作業が面倒くさい。指先をキーボードに軽く置くのが厭になっちゃうよ〜。出逢った知人に『野菜の苗を植えて筋肉痛だい』と訴えると、どの位沢山の苗かと問う。十数本だぜよと応えると大笑いされた。苗を植えるには残っている草を抜き土を耕すんだよ。これが疲れるんだよ、と大口開けての笑いをやり過ごしながらこころのなかで呟く。☆これから暫く水遣り、草取りが大変だ。放っておくと野菜より草丈が延びちまうから。庭で育てていたバジルとパセリを野菜の影に植えた。特にバジルは日焼けしたら硬くなっちまう。芯をとめ枝を増やして柔らかい葉を楽しもうとネギとニンニクの間に植えた。去年は草達に埋もれて、いつの間にか姿を消してしまった。今年はそんなことの無いように育って貰いたいな。


14(土)
珈琲を淹れて工房のテーブルに向かうと汗が出てきた。Tシャツ一枚で草取りをしていた。昨日程暑くなく風も程良くふいていたが家の中に入ると身体全体に汗。ブルーベリーの花が花らしさを増し愛らしかったのでカメラに収め拡大して見ている。前回撮った時はちっちゃくて肉眼では『ん?花か?』と首をひねる状態だったが、今日はしっかり花になっていた。☆あちこちでドウダンツツジの白い花を見かける度にブルーベリーの開花を待っていた。ドウダンツツジの花は真っ白だがブルーベリーの花はうっすらと微妙な色がまじっている。写真では茶色っぽくなっているが肉眼で見た色は紫っぽい不思議な色だった。この花たちが全部実になるのかなあ。木が疲れてしまわないか?まだ木の丈が低いのでチョイと心配だ。汗もひいて気持ちイイ。


15(日)
去年まで茄子、トマト、ピーマンを植えていた場所を空けて里芋を植えようと産直の店頭に出かけた。往きも帰りも田んぼの間の道を歩いた。土の道だ。近所の田んぼも半分以上田植えを終えて、そよ風が水面にさざ波。里芋の苗を箱に歩いていると、田植えを済ませた田んぼの隙間に手で稲の苗を植えている。じょにこの朝夕の散歩でお逢いしていた方だ。ご主人が車で植えたあとの隙間を奥さんが整えてる。毎年拝見する光景はイイもんだ。『今年も田んぼの一年が始まりましたね、お元気そうでなによりです』と挨拶すると『あれえ〜久しぶりぃ』と懐かしい声がかえってくる。オイラの名前も覚えてくれている。お互いのわんこの想い出を語り合い、オイラが抱えている箱を見て『里芋?』『去年の倍の十本を植えるんだ』とお別れ。早速深い穴を掘り元肥に土を被せ、植え、たっぷり水。大好きな煮っ転がしや芋の子汁が頭の中で踊っている。水が好きな里芋なので畑の表面よりチョイと深く植え、少しづつ土寄せしていくんだ。


18(水)
畑の土に馴染んでるかい?と植えた野菜の苗に声をかけていると頭上を鳥が嬉しくてたまらんというように早口の声をかけながら移動していく。その鳥が空を飛びながら感じている『歓喜』と似たものを、野菜の苗に声かけしている人間に感じて思わず挨拶してくれたようだと空を見上げるが姿は見えない。☆そうなんだよ、昨日沢山の花に出逢えた嬉しさと同じ様に、野菜達も此処の土との出逢いを喜んでいるとイイなあと思っている。☆それぞれの花の美しい佇まいは、急に明るくなった午後の陽射しのなかでは眩し過ぎ、夕焼けの後の薄い闇が広がる頃になってから届いてきた。不思議な時間のズレだった。そして今日になってもそれぞれの花の存在の美しさを感じている。中津川の中の橋のたもとで逢った赤いマロニエの赤い花がリーダーになって花のコーラスが始まる。その素敵なハーモニーに空高くさえずる鳥の声が加わり響いている。


20(金)
畑の隅のコンポスタで出来上がった堆肥を野菜の苗の周囲に置き、日当りを確保するための草刈りも三日目。刈りきれなかった草が『オイラ元気だよ』と立ち上がっている。鎌の刃を研いで再度挑戦した。☆雪が溶け始めた頃に肥料を施した長ネギが元気でネギ坊主を付けているので契取り、たっぷりと堆肥を根元に置く。東京で食べていた長ネギの青い葉は美味しくなかったが、岩手で育つ長ネギは葉の部分も非常に美味しいので、食いしん坊は気合いを入れて育て感激しながら食べている。もう少し経ったら植え替えをしよう。植え替えるといっても、根を付けた根元の2p位を別の場所に植え直す、だけ。これで新しい葉が延び根元に土寄せするだけで美味しい長ネギになる。冬を越したものは特に美味である。


21(土)
これはコンバインか?デカイ車が水田に稲の苗を植えている。若い頃歌った『〜農機』のCMソングを思い出しながら田んぼの脇を歩く。思い出すといってもコマソンのメロディーは全く憶えていない。当時の人気歌手がねじり鉢巻きをして運転している映像だった。その歌手も後進のために大晦日恒例の歌合戦出場を辞退。その位昔のことなんだなあ、と呟きながら歩いていると、ドンドンと太鼓が鳴り大勢の子供らの歓声が聞こえてくる。小学校の運動会だ。別の方向からも太鼓の音だ。『鬼剣舞い』の太鼓だ、毎年この時期に高校生が消防署に来て感謝の舞いを踊っている。何年か前に踊っているところを通りかかり感動した光景を思い出す。踊りも見事だったが、立ち並ぶ消防署員への高校生の感謝のスピーチが礼儀正しく爽やかだった。☆小学生の明るい歓声、高校生の舞い、ダートを走り苗を植える車の音を聞きながら、しあわせな気分で美味しい空気を深呼吸しながら歩く午後。


23(月)
去年収穫し大粒のものは、今畑に戻り育っている。吊るして保存しているニンニクはそろそろ芽が出てきた。この芽を除き電子レンジにかけると匂いが気にならなくなる。そのまま食べても美味しいが、唐辛子味噌に刻み込んでも旨い。オイラも岩手に来てから随分唐辛子を食べるようになったが、土地の好きな方は青い唐辛子を焼くのが旨いと仰る。畑で元気に育っているニンニクは丈ものびて順調に育っている。採れ立てニンニクは醤油に漬ける。この醤油は生きのよい刺身によく合う。魚といえば、ここ十年以上出回らなかったイワシが今年は豊漁だそうで非常に旨い。刺身もイイが軽く塩をして焼いても最高だ。白いご飯にニンニク入りの唐辛子味噌を乗せ、焼いたイワシ、たまらんねえ。


25(水)
大分タマネギらしくなってきた。土を寄せて更に大きくなるのを期待しながら昨日、久しぶりに土沢駅のホームで聞いたウグイスの歌声を想い出している。多分去年『ホーポテチ』と歌っていたウグイスだと思う。小高い館山の東側の森から聞こえてくる。去年と同じ場所から聞こえる歌声は『ホーチョコット』。これを繰り返していた。去年の歌声を聞いた時、余りに可笑しくて暫く笑いを抑えることができなかった。しかし今年になって他のウグイス達が歌っているのに、館山のこのウグイスの歌声を聞くチャンスはなかった。昨日の歌い方も、じっくり合間をいれていた。去年が『ホーポテチ』今年が『ホーチョコット』。新たな歌い方を模索している革新的なウグイスなのか?だとすると只者ではないのかも?と首をひねる。しかしそう思いながらもオイラは笑いを堪えている。充分に間をおき『ホーチョコット』が聞こえてくる。一般的な歌唱に満足できず新たな歌唱を確立するため、大いに悩みながら歌っているアーティストの鑑だなあ。成長するタマネギに土を寄せながらオイラは笑いを抑えられずにいる。


26(木)
昨日、今日と朝方に小雨が降りおとなしくしていた草がうれしそうにしている。昨日食べたブドウの種子を植えたのでイイお湿りだ。里芋の小さな葉に雨が玉になって奇麗に光っている。海外の漫画で川の水を手に取って丸いボールづくりに専念する原始人がいたなあ。日がな一日真剣に『ウォーターボール』をつくる人だった。オイラも雨が降った後のキラキラした水の玉を見つけると何故だかうれしくなる。風がそよくと里芋の葉の上で水玉がコロコロと揺れる様は子供の頃世界中が光っていたのを思い出させてくれるようだ。☆飽きもせず継続している音源の改良。この一週間♪山家暮らし♪に取り組んでいる。二番の歌詞に夕立の後のクチナシの花が出てくるので、余計に里芋の葉に転がる水玉に目がいってしまうのだろう。クチナシの花は大好きだ。雨上がりの夕方に咲き匂うクチナシはイイ。岩手に来てから風に乗って届いて来る香りには逢えているが、その姿は未だに見ていない。


28(土)
今回たっぷり降った雨のおかげで野菜の苗たちは元気にしている。それ以上草たちは超元気でアッという間に伸びている。小さな苗の野菜を見て食いしん坊の胃袋は収穫時のイメージに満たされている。苗から育てる野菜の他に、何かイイものはないかと産直の種子売り場を覗く。小松菜とサニーレタスを選んで早速播いた。東京で生まれ育つと小松菜のほろ苦さが恋しい。何故だか岩手の小松菜は苦味が殆どないように思う。気候とか土の違いなのだろうな。生野菜や余り食べないが今年はサニーレタスが旨いような気がしてる。畑の南側に一列土を耕し水を遣り種子を播いた。育ったらドンドウ食べようとメニューが頭の中をグルグルしている。


30(月)
『?』いつものウグイスでない。随分たどたどしい歌い方が聞こえてくる。この数日、早春から裏の林で歌っていたウグイスの歌い声が聞こえなくなり、代わりに幼い歌声が短い時間だけ届いている。歌っている場所も少し北側に移動しているようだ。歌い手の交代の季節だろうか?前の立派な歌い手は何処に行ったのだろう、気になる。館山の東側のウグイスに正統派の歌い方を教えに出張したか?などと考えながら草取りをしている。小松菜、サニーレタスの芽はまだだなあ。☆処により雨降りの予報はハズレだ。野菜や花たちに夕方水を遣っておこう。晴れると陽射しが強いので直ぐ乾燥してしまう。☆陽が落ちる前に小豆を煮る。小豆餡、寒天、黄粉と黒蜜で美味しいスイーツに。岩手の大豆は勿論、黄粉が旨いのです。今朝幼いウグイスの歌声を聞いていたら甘いもんが食べたくなっちまったから。小豆は圧力鍋で煮るので三回煮こぼしてアクを取った。5分煮て、砂糖と塩少々で味付けだい。


31(火)

種子を播いた小松菜、サニーレタスの芽はまだ出ていない。覆った土を押しのけて根の先っちょに双葉の入った種子のカプセルが地上に出てくるのが待ち遠しい。。三十歳中頃、上野駅の通路を歩いていて気を失って倒れたことがあった。約一カ月続いていた胃潰瘍の痛みだった。この時出逢った医師のおかげで切らずに半年の治療で現場に復帰できた。その医師の忠告と半年間の治療中に読んだ数々の本は、その後のオイラの生き方に大きな影響を与えてくれた。野菜づくりを始めたのもこの頃だ。昨日の夕方につくった小豆餡を試食してみた。三回の『湯こぼし』の効果で雑味のない美味しい餡に仕上がっている。砂糖は小豆と同量の1kg、塩ひとつまみ。そうそう圧力鍋を使いだしたのも、この頃だったなあ、その後いろいろな調理に役立っている。